営業の顧客管理や人事、総務といったさまざまな部署の業務内容によって使用するソフトウェアが異なることや、年々上昇するソフトウェアのライセンス使用料などが相まって、IT統制の複雑さや費用面でDX化に踏み込めない企業が多くあります。
福岡県古賀市の「サクラディア合同会社」の代表社員、河野真治(かわの しんじ)さんは、DX化やIT化を推進したいと考えている企業に対し、より安価で的確な経営問題を解決するICTコンサルティングを中心とした経営コンサルタント事業を提供しています。
山口県で生まれ育った河野さんは、大学時代に製品の設計や製造の際に発生する衝撃、摩擦、空気抵抗といった物理現象をシミュレーションするCAE(計算機援用工学)を専攻し、卒業後は研究職としてCAEを活かせる山口県のシステム会社に就職しました。

CAE解析では主にパソコンを使用していたことから、後にシステムエンジニア(SE)への興味を持つようになり、結婚を機に福岡県古賀市へ移住。北九州市のシステム会社に転職し、SEの仕事の面白さを実感しながら、本格的にSEとしてのキャリアを積んでいきます。
「前の会社ではSEとして色々な案件に携わっていましたが、しかし1社に絞り、その会社にとって良いシステムとは何か?を突きつめたいと思いました。」

その後、大手ラーメンチェーンの社内SEとして転職した河野さんは、海外店舗を含む複数店舗で使用されるシステムのIT統制に関わる業務を担当しました。
「社内SEとしての経験を積んでいくにつれて、SEではなく経営マインドにシフトするようになり、MBA取得や経営の勉強をしようと考えるようになりました」
また、社内ITコンサルタントの募集を見つけた河野さんは、大手インターネット会社が提供するサービスのリニューアル事業に取り組む機会を得ました。
「転職した会社ではSEではなく、業務改善を行うコンサルタントに近い業務だったので、経営の勉強をしていくうちにMBAの取得を目指し、のちに法人を設立しました。」

社内ITコンサルタント時代には副業として知人の案件を任されることもあり、その後しばらく個人事業主として活動を続け、2019年にサクラディア合同会社を設立。これまでの経験を活かし、現在では関東および地元古賀市の企業向けにICTコンサルティング業務を提供しています。

「コンサルティングをこれまで行った経験上、ITに関係のない問題に直面することが多く、表面上ではシステムやPCの問題ではあるものの、原因を探ると、経営レベルにあることが分かりました。」
鹿児島県にある介護事業会社のコンサルティングを行った河野さんは、上場を目指して規模が大きくなる会社のセキュリティや個人情報保護の対策として、IT統制に携わりました。
「情報システム部門の「DX部門」の立ち上げと、上場への経営改善はしっかりと出来たと感じており、私の持つノウハウも提供できたかなと思います。」
河野さんは1年をかけて社内の「DX部門」の設立を実現し、会社がその社内システムで自走できるように、他業者との連携やアフターケアのサポートを行いました。

「仕事を取ってくる営業、バックオフィスで社員の相談を聞く総務など、会社内で様々な役割がありますが、情報システム部門は各部署にあるパソコンやシステムを取り扱っているので、経営層から現場の従業員にいたるまで、部署関係なくフラットな位置にあると感じました。」
これまで関わった案件で、河野さんはICTコンサルティングの一環として営業担当者と一緒に外回りをしたり、経営者のスマートフォンに関する相談に応じるなど、ICTの範囲が特定の部署に限定されず多岐にわたることを実感しました。その経験から、会社を中心から変えるのではなく、現場の意見を聞き、それをもとに改善していくことが重要だと考えるようになりました。
「問題点によっては現場の従業員の意見を取り入れ、それが社内に広がっているのを見ると、現場から解決できるのだとコンサルティングをしていて感じ、とても感動しました。」

業務で使用するソフトウェアの多くは毎年ライセンスの更新が必要で高価であることや、カスタマイズができないことから、Microsoft Excelを使い手動で顧客管理を行う会社もあると河野さんは語ります。
河野さんは経営改善の一環として、社内向けのシステム開発やWebサービス事業を提供しており、高価なソフトウェアを使用する必要がなく、より安価に類似の機能を利用できるオープンソースソフトウェア(OSS)のソリューションを推奨しています。
「大手顧客管理ソフトとしてSaleforceが有名ですが、非常に高価であるため、Excelで管理する会社もあります。弊社ではOSSであるExmentを会社の要件に合わせてカスタマイズし、使用方法を教え、会社で使うことで、Salesforceに近い運用ができます。」
OSSは世界中のSEが集まり開発を行うソフトウェアであるため、不具合が発生した際の対応速度やサポート内容が商用ソフトウェアと異なる点が、OSSを利用するデメリットだと河野さんは説明します。

「弊社ではこのさじ加減や、OSSの種類の把握や運用のノウハウを持っているだけではなく、私自身SE兼コンサルタントをしているので、トラブルの対処や会社に最適なOSSをご提案できるのが強みです。」
一方で、OSSの大きなメリットはソフトウェア自体が無料であること。「無料で利用できるからこそ、『とりあえず試す』ことができる」と河野さんは語ります。
「市販ソフトだとライセンス費がかかったり、試用期間で全ての機能が使えないなどの問題がありますが。OSSであれば無料かつ、全機能を使える利点があります。OSSに踏み込めない経営者がいれば、弊社でデモ環境を提供することも出来るので、勉強がてらOSSに触れてみるのがおすすめです。」
サクラディア合同会社では、顧客管理のExment、ヘルプデスクのHesk、クラウドストレージのNextcloud、ウェブ解析ツールのMatomoなど、用途に応じた幅広いOSSソリューションを提供しています。

「独立して良かったことは自分で作りたい物や、計画を立てることが出来たことが良かったです。仕事の面では他の会社の経営者と出会うことで、私自身も色々学ぶことも多かったので、この経験は独立しからこそ得られたものだと思います。」
仕事だけでなく、小さな子どもを育てる河野さんにとって、家庭で子どもの面倒を見たり、地域活動に協力したりと、時間の制約があった会社員時代にはできなかったことが可能になり、生活面でも多くのメリットを感じているそうです。

会社員時代を経て、個人事業主としてしばらく独立した後、サクラディア合同会社として法人化した河野さんは、「将来は自分の痕跡を残したい」という思いから自社サービスの開発・提供を目指しており、その第一歩として法人化して良かったと語っています。
「現在の顧客は関東に数社と地元の古賀市に1社なので、私が住む九州や福岡県といった、すぐに行けて、顔の見えるお客様をっもっと増やしたいと考えています。」

オンライン通話を通じてコンサルティングを行うことが多い河野さんですが、実際に会社を訪問し、社内の雰囲気を感じたり従業員と直接話すことで、会社が抱える問題点を現場で見つけることが重要だと考えています。また、よりスムーズな問題解決を図るためには、すぐに駆けつけられる距離にあることが理想だと語っています。
「福岡県のお客さんを増やしながら、自社サービスを確立したいとも考えているので、「サクラディア合同会社」印のサービスやソリューションを提供することに、今後注力していこうと考えています。」
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