福岡県福津市にあるTotal Salon Briller(トータルサロンブリエ)。代表の中下早香(なかした さやか)さんは、まつげエクステやネイル、フェイシャルエステ、脱毛といった美容メニューに加え、デリケートゾーンケアのULTインストラクターとして、女性の体と心に寄り添う活動を行っています。
Brillerとは、フランス語で「輝く」という意味です。女性が子供を産んでからも、年齢を重ねてからも、いつまでも輝いて過ごせる人生を送って欲しい。サロン名には中下さんのそんな願いが込められています。
肌の悩みの多くは、体の中から来ていると中下さんは語ります。冷えや生理痛、ホルモンバランスの乱れ。多くの日本人女性が抱えるこれらの悩みに対し、中下さんは豊富な知識を持って向き合い、正しいケアの方法を伝えています。
中下さんは、祖母の代から始まる美容師の家系に産まれました。祖父が早くに亡くなり、祖母は1人で福岡県福津市で「モダン美容室」を営みました。子供の頃は「おばあちゃんの家というより、お店に行く感覚」だったと中下さんは語ります。
祖母や叔父の美容師に囲まれて育った中下さんは、高校生で進路に悩みます。子供や赤ちゃんが大好きだった中下さんは、助産師になるか家系を継いで美容師になるか、とても迷ったそうです。

「高校の先生に背中を押していただいて、家系が美容師だから美容師になった方がいいんじゃないっていうことで、美容師の道を進みました」
高校卒業後、福岡美容専門学校のエステコースに入学し、卒業後は美容師として働き始めましたが、21歳の頃に長女を出産したことで、美容師の仕事から離れて障害者施設で働くようになりました。
「障害者施設は2人目を出産した時に辞めてしまったので、次どうしようかと考えていた時に、祖母から『何のために美容師の免許取らせたんだ』と戻ってこいコールがありました」
美容師の免許を活かすため中下さんが選んだのは、当時流行していたまつげエクステでした。最初は商業施設内のまつげエクステのお店に就職し、経験を積みます。そして、中下さんは2017年に自身のサロン「Total Salon Briller」として、祖母のお店でオープン。まつげとネイルのメニューからのスタートとなりました。

祖母が施設に入ったタイミングで、中下さんは内装を変えることにしました。元々あった4つのセット面を全て取り外し、床と壁を貼り替えて空間を広くし、現在の白を基調としたおしゃれな内装になりました。
「祖母は事業承継というより、この美容室という空間を潰したくなかった思いが強かったのだと思います。だから私が呼ばれたのかなと考えています」

祖母の思いを受け継ぎ、中下さんはこの場所で「Total Salon Briller」という名前で新たな挑戦を始めたのです。
今でも建物には祖母のお店「モダン美容室」の看板を残しています。これは「モダン美容室という看板の名前を残して欲しい」という母の思いが強かったためだと中下さんは話します。
「小さい時からここが美容室であり、祖母の家でしたので、モダン美容室という名前がなくなるのは寂しいという思いもありますが、Total Salon Brillerに来ていただくお客様が分かりづらいというご意見もいただいていますので、別の形で残そうと考えています」

中下さんはこのモダン美容室の看板を店内に飾ることで残したいと考えています。祖母の思いと、中下さん自身の新しい挑戦。その両方がこの場所には息づいているのです。
Total Salon Brillerでは、まつげエクステ、まつげパーマ、アイブロウといった目元のメニュー、ネイルのメニュー、肌質改善がメインのフェイシャルエステ、光脱毛、ワックス脱毛を提供しています。そして、中下さんが特に力を入れているのが、デリケートゾーンケアのULTインストラクターとしての活動です。

コロナ禍以前は、まつげエクステやまつげパーマの若いお客さんが中心でしたが、現在ではフェイシャルメニューの依頼が増え、年齢層も変化しています。
「当サロンに来るお客様は35歳から85歳くらいまでの方が多いです。肌のお悩みには体内のケアも必要になってくるので、デリケートゾーンのケアも合わせてご提案できるフェイシャルサロンとなっています」
中下さんがフェイシャルメニューに力を入れるようになったきっかけは、自身の体験にありました。化粧品の営業担当者から「お願いだから化粧水だけでもいいから塗ってください」と言われるほど、元々肌のケアを全くと言ってもいいほどしなかったそうです。

しかし、化粧品を作っている先生をInstagramで見つけ、インスタライブなどで化粧品の成分や使い方を身近に発信しているのを見て、魅了されたのです。
「作っている方がこんなに身近にいる化粧品は他にないなと思い、そのブランドを使い始めました。使い続けるうちに自分の肌がどんどんきれいになっていくのが分かり、とても楽しいと感じました。お客様にも同じような体験をして欲しいと考え、サロンを経営しています」

中下さんの強みは、デリケートゾーンケアの講師経験から得た豊富な知識です。日本では性教育の機会が少なく、知識がとても乏しいと中下さんは感じています。
「女性は周期の関係でお肌にもその変化が現れやすく、デリケートゾーンとも関係があったりします。私はその分野において豊富な知識を持っていますので、インナーケアも絡めながら、お肌をきれいにしていきます」
中下さんは、フェイシャルメニューに関して来店されたお客さんに、他のサロンではあまり聞かれないような問診をします。生理痛があるかや生理が順調かどうか、どんなナプキンを使っているかなど、詳細にヒアリングを行います。
「日本人は冷えを感じる方が多いです。冷えがあると、血の巡りが良くない場合がほとんどなので、巡りを見直さずに肌の改善だけに注目してしまうと、なかなか良い結果を得られません」

中下さんは、顎周りにニキビが多い方を見ると、婦人科系の症状もありそうだと考えます。
実際にヒアリングを重ねると、生理痛や生理不順、便秘などの問題を抱えていることがあると話します。
コロナ禍でマスクをしていた時期が長かったため、毛穴が開いてしまい、たるみになっている方も多いといいます。
「血液循環を良くすることによって、顔が引き上がっていい結果が生まれるので、そこをご提案させていただいております。体を温める簡単な方法や、朝気持ちよく起きられる方法など、まずは簡単にできることからご説明し、少しずつ改善へと、お手伝いをさせていただいております」
Total Salon Brillerはニキビ改善に自信があります。今まで皮膚科治療やいろいろな製品を試したものの、なかなか治らないという方が多く来られます。

「当サロンではニキビはスピード感を持って改善できる自信がございます。お客様には『ここまできれいになりたい』という目標を設定し私がサポートします。早い方ですと、3ヶ月程でニキビが改善し、きれいになっている方が多いです」

肌質改善に特化したサロンは徐々に増えてきていますが、中下さんのサロンの特長は体の中からのケアも含めて提案できることにあります。鏡で見る肌がどんどんきれいになっていくと自己肯定感も上がり、毎朝気分よくスタートができるようになります。中下さんはそこを大切にしているのです。
中下さんがULTインストラクターとして活動する原動力となるのは、女性の誰にも相談できない悩みに応えたいという思いです。

「女性には妊娠や更年期、またそれが終われば老年期があります。自分の体のサインを無視して頑張ってしまい、肌のケアを諦めてしまう方が多いです。体の中をケアすることでお肌もきれいになるので、毎日楽しく過ごせるようになると思います」
中下さんが特に問題視しているのが、生理痛やPMS(月経前症候群)による労働損失です。その額は、なんと4900億円にも上るといいます。
「女性の悩みに対する男性の理解が乏しい国なので、企業を筆頭に職場での理解などの改善を行って欲しいと考えています。そうすることで経済効果も良くなると思うので、周知していただくために様々な活動をしております」

中下さんは施術だけでなく、1時間半程度、テキストや模型を用いて知識を身につけてもらい、お客さんそれぞれの悩みに合ったケアを提案しています。
またサロン以外ではセミナーの開催や講師活動にも注力しています。マルシェで性教育や基本的な生理の仕組みについて話したり、幼い子供をもつお母様向けにデリケートゾーンの洗い方や知識を伝えたり、また中高校生には生理用品の基礎知識を10人程度集めて話すこともあるそうです。

「正しい知識とケアの仕方を知っていただき、自分のお子さんに伝えて欲しいです。母から子へと繋いでいくことで良い循環が生まれ、日本にとっても良い効果があるではないかと考えています」
Total Salon Brillerの主なお客さんは女性ですが、最近は男性の利用者様もいます。女性のお客さんと同じように、男性もニキビで悩む方が増えており、お客さん一人ひとりの悩みを解決することに力を入れていきたいと中下さんは話します。

「女性は年齢関係なく、正しくケアをすればきれいになれます。いつ始めても遅くないので、自分の体のサインは無視せずに向き合っていただき諦めずにケアをすれば、人生楽しかったな、良かったなと感じられるようになると思います」
インストラクターの活動を広めて企業や学校、保育園や幼稚園にも、セミナーで正しい知識を伝える活動をしていきたいと中下さんは話します。

「性別問わずたくさんの方に知っていただくことによって、より良い日本になっていくと信じているので、私の活動をさらに広げていきたいと考えています」
祖母から受け継いだモダン美容室の場所で、中下さんは新しい形で女性の人生を輝かせる活動を続けています。「私なんか」と思う女性たちに、「いつからでも遅くない」「やれば必ず結果は出る」というメッセージを伝えながら。
肌の悩みの根本にある体の中のケア、正しい知識の共有、そして一人ひとりに寄り添った施術。中下さんのアプローチは、表面的な美しさだけではなく、女性が自分の体と向き合い、健康で楽しい人生を送るための土台を作ることです。
「輝く」を意味する「Briller」の名前の通り、中下さんは、Total Salon Brillerで一人でも多くの女性を輝かせるために、今日も施術室に立ち、セミナーで知識を伝え続けています。
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